またたびスプレーは安全?有害?猫への効果、正しい使い方、またたびスプレーの選び方について
とある日、猫と触れ合うことができるカフェでの出来事でした。店員さんが猫ちゃんに「シュ、シュ、シュー」とスプレーをした瞬間、猫ちゃんが床に体をこすりつけてクネクネ、ふにゃふにゃになってしまいました。
えっ?大丈夫なのかな・・・?
そのスプレーの正体は「またたびスプレー」!
普段から使用するというより、タイミングを見てスプレーを使用しているとのことでした。初めて見る、またたびスプレーと猫ちゃんの行動。クネクネ、ふにゃふにゃになってしまう猫ちゃんを見て「大丈夫なの?安全なのかな?」と不安になり、安全性、依存性があるのか、猫ちゃんへの効果などについて調べることにしました。
またたびスプレーとは?
「またたびスプレー」とは、木天蓼(マタタビ)に含まれる成分を使用したスプレーです。
マタタビの実、またはマタタビの葉を使用して「またたびスプレー」が作られます。マタタビに含まれる「マタタビラクトン」という成分が猫に反応することが発見されましたが、最近の研究結果ではその中でも「ネペタラクトール」という成分がネコに強い作用を引き起こしていることが明らかになりました。※
※岩手大学と名古屋大学などの研究グループの報告(プレスリリースより)
またたびスプレーの安全性について
マタタビの成分が猫に反応することは分かりましたが、はたして、またたびスプレーは猫にとって安全なのでしょうか?
【研究成果】岩手大学と名古屋大学などの研究グループ
岩手大学、名古屋大学、またイギリスのリバプール大学との共同研究で、マタタビをネコに与えても依存性や毒性が見られず安全性が高いことを初めて科学的に立証しました。
- ネコにマタタビを嗅がせ続けても依存性やストレス指標への影響は見られない
- 数年間ネコにマタタビを与え続けても、肝障害や腎障害の血液検査数値は正常範囲内に留まる
猫にまたたびスプレーをすることで酔っぱらったかのようにクネクネ、ふにゃふにゃになってしまうため、依存性やストレスを与えている可能性があるかと思いましたが、研究結果からは依存性や毒性が見られないと科学的に立証がされたようです。
また中長期的な影響として、最長約3年にわたってマタタビを与えられた9歳未満のネコたちの血液検査を実施した結果、肝障害と腎障害の指標について正常値範囲内であり、長期的にマタタビを使っても肝臓と腎臓への害は見られないことが示されました。
またたびスプレーの効果とは?
またたびスプレーが安全と分かり一安心ですが、猫への効果はどう考えれば良いのでしょうか。
床に体をこすりつけたり、くるくる回ったり…
とてもリラックスしているようには見えないのですが、こちらも研究結果より、通称「幸せホルモン」と呼ばれるβエンドルフィンの分泌が促進されることが発表されています。
じゃ、なんで体をこすりつけたりするのかな?
ここについても同グループから研究結果が発表されていますが、マタタビに含まれる「ネペタラクトール」が蚊を忌避・殺虫する活性を示すことが分かり、フィラリアを中心としたど寄生虫やウイルスなどを媒介する蚊から身を守るため、体にまたたびスプレーを擦り付けていると考えられています。
※プレスリリース:ネコのマタタビ反応の謎を解明!より
フィラリア症の詳細と予防については、こちらの記事もご参考ください。
またたびスプレーの使い方の例
安全性も分かり、リラックス効果についても報告されたマタタビ。とはいえ、またたびスプレーを使うタイミングについては考えたいもの。どういうタイミングがあるのかを考えていきます。
冒頭で記載した猫と触れ合えるカフェの店員さんもこのケースでの使用でした。どうしても言うことを聞いてくれない時に必殺技として「またたびスプレー」を使用しているとのことです。
どうしても誘導したいケースですと、キャリーケースへの誘導として使用するケースに有効かもしれません。また「爪とぎ」をして欲しい場所へまたたびスプレーを使うことで、猫が興味をもちその場所で爪とぎをしてくれるケースも考えられます。
こちらも目的は「興味」を惹くことになりますが、おもちゃへ「またたびスプレー」を使用することで、普段おもちゃで遊ばない猫のきっかけになる可能性があります。
ごはんを食べてくれない時、食欲の増進として使用するケースが考えられます。ただし注意が必要で、食欲不振の場合、猫の体調不良、病気などが関係している可能性があります。何となく気分で食べたくない時に「またたびスプレー」を使用することは効果的ですが、食欲不振が続く際は、かかりつけの動物病院へ相談をする必要があります。
またたびスプレーの選び方のポイント
いざ「またたびスプレー」を使おう!となった際の選び方のポイントについて考えていきます。
原材料に防腐剤や合成保存料等などが含まれていない「またたびスプレー」を選ぶと良いと思います。防腐剤や合成保存料等は人への影響も懸念されるため、相対的に体が小さい猫への影響を考えると、不使用の「またたびスプレー」を選びたいと思います。
「またたびスプレー」の中にはアルコールが含まれている製品があるため、可能であればアルコール不使用の製品を選びたく思います。
製品の成分、原材料に「アルコール」が含まれる場合は、スプレー後、アルコール分を蒸発させるために時間を空けて、猫に与える必要があります。
主成分が「マタタビの実(虫癭果)※」や「またたびエキス」と明記されている製品を選べたく思います。
マタタビの実に「マタタビアブラムシ」や「マタタビミタマバエ」などの小さな昆虫が産卵をして正常な果実になれず異常な発育をし、虫こぶ状のものになるものです。古くから漢方薬としても使用されており、有効成分が多いと言われています。
合成化学物質を使用してマタタビの香りを再現した製品や、マタタビではない成分を使用した製品があるため、原材料を確認して選びたいと思います。
選びたい「またたびスプレー」
上記の選び方のポイントより、愛猫へ「またたびスプレー」を紹介していきます。
合成防腐剤不使用、原料が虫癭果(ちゅうえいか)抽出エキスだけの製品です。30mlでお試しにも使いやすいサイズかなと思います。
こちらの製品も合成防腐剤不使用、原料が虫癭果(ちゅうえいか)抽出エキスだけの製品です。1本20mlの商品があるため、愛猫ちゃんが気に入ってくれるか試すには良いサイズだと思います。
スプレーではなく粉末タイプの製品となります。食欲不振の時の食事と合わせて与えるケースになりますが、佐賀県みやき町で採取された無農薬(天然)のマタタビが使用されており、防腐剤も不使用の商品となります。
まとめ
今回は「またたびスプレー」の安全性について、岩手大学と名古屋大学などの研究グループの研究成果を参考に考えてきました。マタタビ自体が有害ではないものの、「またたびスプレー」の使い方については、使用のタイミング、使用量など、また原材料について、猫の健康を考えた上で使用したく思います。
猫ちゃんとの楽しい生活を過ごすために、上手に「またたびスプレー」と付き合えると良いのかなと考えています!